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program-B

渡井登紀子 Tokiko Watai

「ザシキワラシハドコイッタ」

[Time/Year/Category]

14min/2015

雪のある日 
えっちらおっちらカメラをかかえ 
私は外に出る
寒さと歩きにくさで
せいぜい行ったのは部屋からも見通せるくらいの身近な場所
歩きはじめたほどの小さな子どもを連れて散歩に行くくらいの
おまけにカメラは壊れたようで
まったく音は録れていなかった
雪を踏みしめる音も 
小さな気遣いも

週末の夜
娘が私にインタビューする
幼い頃の自分について
学校で二分の一成人式が行われるという
私が噓をでっちあげても
それが彼女の歴史になるのかなと
いたずらな気持ちが通りすぎるけれど
話しはじめた私は
糸をほどく作業に夢中になった
語った言葉を証明するものは何もないけれど

Commentary from TEB:
2児の母でもある作者が紡ぎだす映像詩には、母・娘・女など様々な顔がからみ合って現れ、独自の濃密な世界を生み出している。我が子を素材に物語(本人曰くホームムービーファンタジー)を制作してきた近年。しかし主演女優の娘はもう10歳。モンスターだった幼子は随分と人間らしくなり、何事もなかったようにすましている。そのことをおかしく、どこか寂しく思いながら、黙って放っておく気のない怖さも感じる。その複雑さが面白い。

[Link to watch]


[Artist]

東京都生まれ。日本大学芸術学部卒業。映像制作を続けている。日常とは少し離れた世界の表出を、詩を紡ぐように試みている。時にそれは、

物語のようである。近年は子育てが主な生業なので、子供は主な撮影素材であり、モチーフ。


Filmography

  • 1997「暈色粒子」カリフォルニア大学ライブラリーに収蔵

  • 2006「baby」「fog」『ベーゼンドルファーを弾くVol.5 上野耕路』コンサートコラボレーション映像(金沢21世紀美術館)

  • 2013「まじょスープ」Japanese Film Festival at SUNYIT



※掲載情報は公開当時のものです。

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