program-C
奥野邦利 Kunitoshi Okuno
「覚めぬ夢、あるいは死についての考察」"Dream or Death"

[Time/Year/Category]
20min/2015
こどもの頃は死について真剣に考えていた。小さな公園でかくれんぼをしているとき。実家の写真館の店じまいを手伝っているとき。いつでも死はそばにあった。
そして僕は死を恐れた。夢から覚めないことをもっとも恐れた。
精神の奥底に雷鳴がとどくとき、僕は目覚めに導かれ、救われた。セカイとしか言いようのない広大な空間が広がっていた。静かだった。
これは詩としての映像です。時間と空間と音が、近づいたり、遠ざかったり、記憶の深い部分を刺激する装置でもあります。
恐れずに、身を委ねてもらえる と嬉しいです。
Commentary from TEB:
作者の父が40年程前に撮影した8ミリフィルム。そこには、まだ幼かった自身の姿が映されている。子供のほうがよほど本気で“得体の知れないもの”と向き合っているのではないか…そのような意味で、常識や知識ではない“死”を考察する。奥野は、既存の物語が「鉄筋コンクリートの堅牢な建物」ならば、自分が創ろうとするのは「鉄筋を使わずに高く組み上げた建物」であると言う。言葉の無い詩を読むように味わってみたい。
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[Artist]
1969年東京生まれ。日本大学大学院芸術学研究科映像芸術専攻修了。現在は日本大学芸術学部映画学科へ勤務する傍ら、変容するメディア
と物語の関係を軸にした映像作品の制作を手掛けている。近年は彫刻やライブ演奏、演劇など、他領域の作家とのコラボレーションも積極的
に進めている。日本映像学会理事。
Filmography
『無形の者』“Metaphysics of existence”, Festival Signes de Nuit 2007(パリ)
オムニバス映画『見るということ』“seeing(” 参加作家), 山形国際ドキュメンタリー映画祭2009(山形), 2009 第14回 アートフィルム・フェスティバル(名古屋)
『喪失の記憶』“Memory of absence” 2010 BROOKLYN INTERNATIONAL FILM FESTIVAL(ニューヨーク), Experimental Film and Video Festival in Seoul 2010(ソウル)
コラボレーション映画『万象無常』“All things change(” 参加作家), 2012 松本俊夫の螳螂の斧(京都), 2012 松本俊夫の螳螂の斧(高松)
『記憶のかたち』“Layer of the Memories”, Festival Signes de Nuit 2013(パリ)
※掲載情報は公開当時のものです。