(2024年6月『東京映像旅団おうえん団』X上の記事を再録・再レイアウトしています)
今回は2024年6月20日に『帰ってきた 新宿ホラー祭り2024~尾を喰う蛇と蛇女~』の上映イベントを控えている(注:現在は終了しています)内藤慈さんにインタビューを敢行しました!
【内藤慈】経歴
1979年神奈川県出身。日本大学芸術学部映画学科在学中、映像作家・相内啓司に師事。
大学卒業後、タレントブッカーや俳優マネージャーを経たあと、広告関係の仕事をしながら伝奇ホラー劇映画や実験映画の自主制作を続けています。
ー 個人制作が多い旅団の中で内藤さんは役者やスタッフ達と短編映画を精力的に制作しています。今回の『帰ってきた新宿ホラー祭り2024~尾を喰う蛇と蛇女~』はどのような企画なんでしょうか ー
(内藤)数年前開催していた「新宿ホラー祭り」というイベントの名前だけ拝借した笑、ミニマムな上映会です。
前回はゾンビと二口女が出てくる短編映画を上映しましたが、今回は国内外の絞め落としマニアにも大好評(?)の内藤慈監督作『悶殺蛇女』を含む、「蛇」にまつわる異色の怪奇作品二本立てとなります!
ー「蛇」作品二本立ても気になりますが、柔道以外ではあまり聞かない“締め落とし”にマニアがいるということなんですね、どれどれ…(検索中)あ~ うんっ、“マニア”にはあまり触れない方が良いということは分かりました(笑)…今回上映される『悶殺蛇女』は女優陣がとても活き活きと魅力的に演技されていますが役者のスカウトや配役はどのようにしているのですか ー
(内藤)キャスティングがバッチリなら演出いらないと思っているので笑、そういうことなんでしょう。昔は飲み屋のお姉さんに声をかけたり、気になる方のブログにいきなりメッセージを送ったり、空気を読まないアクティブさがありましたが、近年はやはりSNS経由からのお声がけが増えているでしょうか。
ご本人の出演作をチェックするなり、近作に足を運ぶというような順序は必要ですが、結局はその方が面白がって参加してもらえる作品なのかが重要だと思います。
『悶殺蛇女』(2019年)
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ー 最初に東京映像旅団に参加した時期とその経緯を教えてくれますか ー
(内藤)発足当初からOB枠で一応声はかかったのかな?ただ劇映画とか長尺作品とか当時の旅団には出せないものばかりだったので、最初に参加したのは第3回(2007)から。この頃学生時代からの仲間は皆さんプロの現場とかに行ってしまい、制作活動も難しい時期で、、、ひとりでもつくれる実験映画からクズでもクソでも自主制作を再開しよう!というタイミングと合った感じだったと思います。
ー「これは息子ではない」"CECI N’ EST PAS UN BÉBÉ”(2006)や「GOOD LUCK JASRAC」(2007)辺りの作品ですね。当時旅団で多かった“アート系(ここでは難解なコンセプトや端正なビジュアルを備えたものの意)” と並べて上映されると気骨溢れるというか…「知性と暴力って案外近いんだな」と思った記憶があります ー
2007年頃の作品 ①
(内藤)時代性やコミニティの影響が大きいと思いますが、当時自分がよく目にしていたビデオアートかくあるべし、みたいな一部の作品群に窮屈さを感じることが多くて、そうじゃない可能性もいっぱいあるだろ!という気持ちが、実験的な映像作品をつくる上での創作動機だったりアイデアになっていたところはありました。今もありますけど、現在の方が明らかに“アート系”作品の自由度多様性も豊かになってきているので、そういった対抗心を使うにしても、もう少し違う形になりそうな気がします。
2007年頃の作品 ②
ー また内藤さんは東京映像旅団以外にも独自の活動母体がありますが、その活動について教えてもらえますか ー
(内藤)学生時代から「映像制作集団BODY HAMMER」という団体名を一応使っていますが、所属内藤1名の詐欺のようなものなので、、、「映像寿司」は大学の時からの仲間がやっている小商いの映像制作事業で、仕事を依頼したり、手伝ったり。映像コースで師事した相内啓司さんの「-273°C映像芸術研究所」研究員ということにもなっています。まあ全部ただの設定です笑。
☆☆
ー ジャンルに囚われず活動し作品を発表している内藤さんですが、ご自身ではどのようなタイプの作家であると思いますか ー
(内藤)「映像作家」っぽいスタンスと「映画監督」っぽいスタンスを都合良く使ってきたツケが出てきているような。。。
基本はヒューマンドラマとかとは無縁の、「現実離れした劇映画」でもっと頑張りたいのですが、題材によってはビデオアート的な作品の制作もやぶさかではないです。あまり、そこを分けたくないというか、劇映画とビデオアートをいい感じで融合させたい、という大それた理想がなくはない気がします。
ー これから制作予定の作品はありますか ー
(内藤)今度の予定としては『ストーリーテラー』という女性シナリオライターの物語で、脚本の世界と現実の世界が相互侵食していくホラー作品を現在編集中。
また「絞め落とし」をテーマにした連作ショートドラマを計画しています。そのほか女子高生ネタいっぱいあるんで、女子高生やってもいいよ、という日芸生の方、連絡下さい笑。
ー 最後に今回の上映企画の見所についてお聞かせください ー
(内藤)2024年6月20日(木)19:30~ 週末前の平日夜、1時間ほどのプログラムで気軽に立ち寄れるホラー映画二本立てです。湖畔のゴシックホラーvs絞め落とし怪奇ムービー、ぜひご来場下さい!
栗林賢司 監督『ウロボロス』(2009年)
『悶殺蛇女』(2019年)
ー “妖気”と“フェチ”を合体させた内藤さんの蠱惑的な作品は着実にファンを伸ばしていると思います。今回はインタビューを受けて頂きありがとうございます! ー
☆☆☆
今回東京映像旅団HPへのアーカイブにあたり、内藤慈さんよりメッセージをいただきました。普段より精力的にSNS発信をしている内藤さんのYouTubeチャンネルやブログなどのアドレスも掲載いたしますので、興味のある方は覗いてみてください!!
インタビューありがとうございました。
現在、制作活動や作品上映のおしらせ、そのほか思いつき企画を
内藤慈YouTubeチャンネルにて、常時更新していますので、
ぜひ覗いてみて下さい。
(2024.6.30 Article.)