作品レビュー「アシノミクス」執筆:岡村知美
- 2015年11月1日
- 読了時間: 2分

鑑賞作品:「アシノミクス」芦谷耕平
執筆者:岡村知美
この作品は作者の自主制作10本目にあたり、過去作品の映像も多く引用されているということなので、解説を書くために過去作を全て観返してみた。
作者は、アニメーターであり、筆先で自分の思い描くものを表現できる「絵描き」だ。
その絵描きである作者の過去のビデオ作品(アニメーションを除く)は、撮影してきた映像を、インクや絵の具の様に使い、まるで絵を描くように作られている。
そこでは世界の断片である映像も、作者にとって画材のひとつなので、屈託無くねじ曲げられ、強引にも思えるほど自由に切り貼りされる。
世界のノイズを持つ特殊な絵の具によって描かれた作品には、現実とも絵とも違う、映像ならではの不思議な魅力のある空間が現れていた。
普段、ペンとインクで想いのままに世界を描ける作者は、自分のコントロールを離れて生まれるものに出会うのを楽しんでいたのではないだろうか。
それが震災を受けて作られた2012年の作品から、大きく変わったように感じた。
基本的な手法は同じだが、見たことのないものを生むためのコラージュではなく、ものを言うためのコラージュへ。
素材とされる現実自体が、キナ臭くなりつつあるここ数年ではそれは仕方の無いことなのかもしれない。
そのコラージュに使われるのは、文脈を引き連れた知った顔のテキストであり、シンプルな比喩である。
見たことのある画像や見たことのあるエフェクトが大量に集積した様は、見たことがあるのにどこか気持ち悪い。
私たちをそわそわさせ、イラつかせ、居心地悪くする。
だが、これがまさに2014年の姿なのかもしれないのだ。
了解です、芦谷さん! 選挙行きますね!


