作品レビュー「土曜日」執筆:西崎啓介
- 2015年10月15日
- 読了時間: 1分
更新日:2025年11月7日

鑑賞作品:「土曜日」千葉佐記子
執筆者:西崎啓介
作者の超個人的な経験から付けられたタイトルのもと描かれるのは、どこにも行けない『ことにも気づけない』人間たち。
行く手を阻む束縛や抑圧にすら無頓着な彼らを、作者は徹底的に冷たく突き放し、なじるように傷つける。
粗削りに残した音や画質の劣化も厭わないクローズアップは、昭和の絵本のような暖かいタッチからは似ても似つかない、攻撃的な衝動を本作が抱えていることを予感させる、のだけど、あくまで無抵抗に、おずおずと事態の様子を伺うだけのキャラクターに注がれる作者の眼差しにあるのは衆愚への侮蔑や嫌悪といったものとは明らかに違う。世界へ向けられたその屈折した感情こそが、この作家の本質ではないだろうか。


