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作品レビュー「BLANC」執筆:川越良昭

  • tokyoeizobrig
  • 2018年1月30日
  • 読了時間: 2分

natsuko kashiwada

鑑賞作品:「BLANC」Miho chiro

執筆者:川越良昭


2分ちょっとの実写作品。Miho Chiroも今回が旅団初参加である。


 朝の出勤風景だろうか、駅のホーム、慌ただしく車内へと送り込まれる人々、車窓の風景。スクリーンのさらに中央にある真四角のフレームが、時計の秒針のように右回りに回転し、そこにはスクリーンと少しだけずれた風景が嵌まっている。この周りと同じ透過率を持たないがために不透明になってしまった菱形とその外部とのズレはそのまま、私の見ている風景と追い付いていかない気持ちを表しているかのようである。オートマティックに進む全体とそこからズレて、わだかまる部分。“BLANC(白色)”とはそのように汚れのない、未だ決定されえない保留の領域のことだろうか。映像はそのように直截的に意味や文脈に回収されない細部を持続的に含み持つことができる。


 後半音楽の展開とともに、今までモノクロであった世界が色づき始め、フレームの一部に納まっていたものが弾けるかのように画面いっぱいにほとばしる。明快なストーリーやコンセプトが(なくてももちろん作品は成立するが)作品をまとめているのではないので、音楽の盛り上がりと編集で見せてしまっている感じは否めないが、その分作品には手垢の付いていない瑞々しさが残っている。


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