top of page

作品レビュー「日記自転車」執筆:三木はるか

  • 2015年11月6日
  • 読了時間: 1分

更新日:2025年11月7日


natsuko kashiwada

執筆者:三木はるか


作文を書くことも日記をつけることも、私たちは子どものころに経験しました。きちんとやりきった覚えはあるでしょうか。


校長先生のお話から要旨を読み取れず原稿用紙を前に焦ったり、今日という日のどこを切り取って日記帳に書き付ければよいのか途方に暮れたり、自由記述は静かに困惑を押しつけるものでした。


野村建太は私たちが困惑を覚えた道具を引っ張りだして、自転車に乗ることができない日々をスクリーンにガリガリと書きなぐります。


人の成長や死や、大きな喜びや深い悲しみではなく、いちいちメモしなければ落っこちそうな自分にしかわからない出来事や感覚を掬い上げます。


そこに感動があるかないかはいざ知らず、ほとんどナンセンスの連続です。あなたとは全く関係のない日常が続きます。それでも、私たちには共通の理解があります。自転車の鍵をなくした気だるさとか、徒歩での出勤のために早起きをする辛さとか。私たちが成長したから汲み取ることができる感覚を伝えてくれます。


鍵の紛失も日没も、小さな死なのかも知れません。

宿題のやり残しを大人になった今、ラクガキをしながら紡ぐ映画です。



bottom of page