作品レビュー「この道は、ご自由に」執筆:池端規恵子
- 2015年10月1日
- 読了時間: 2分

鑑賞作品:「この道は、ご自由に」 渡井登紀子
母と娘の、ちょっと怖い物語
執筆者:池端規恵子
母と娘というのは、とても不思議な関係だ。母は娘にかつての自分を重ねることで、娘を分身のように感じる。だが娘は成長し別の女になってしまい、いつしか宿敵となる。しかし、同性にしかわからない何かが、2人を共犯者にもする。
作者は、まだ娘がお腹にいた頃から彼女を撮り続けてきた。娘が言葉を持ち、ものを考えられるようになり、顔つきがしっかりしていく様を、ずっと撮ってきた。今回の作品は、その娘の七歳のお祝いがメインの映像である。化粧をし着飾った彼女の顔は、女をのぞかせるようになっている。
この作品の魅力のひとつは、映像の二面性だ。愛情を持った母の目線と、冷静に素材として見る作家の目線。実際に成長していく娘と、娘を通して見るかつての自分。自分が産んだ少女と、まったく見覚えがない女。これらが二重の世界としてあらわれ、私達に迫ってくる。
ひまわり畑のシーンは特に印象的だ。追いかけても追いつけない娘。小さい頃は簡単に捕まえられたのに、今はもう難しい。娘は母を残してどんどん先へ進もうとする。行きたいなら行けばいいよと母は言ってはみるが、「通りゃんせ」の歌にあるように「帰りはこわい」ことも知っている。
ふと映り込む男たち(父と息子)の、なんと呑気なことだろう。この母娘の秘密の戦いにきっと気づけないのだ。そこに一番女の怖さを感じたのは、私だけではないと思う。


